手のひらに、やさしい精霊馬。——お盆の祈りを、静かに暮らしに

夏の気配と、精霊馬の記憶。
お盆になると、どこからともなく、あの独特の静けさがやってきます。
蝉の声の奥に、目に見えない“気配”のようなもの。
遠く離れた人のことを、ふと思い出すような時間。
きゅうりの馬となすの牛。子どものころに祖母と一緒に割り箸をさして並べた、あの精霊馬(しょうりょううま)は、ご先祖さまを迎えるための、小さな乗りもの。
早く帰ってきてね、ゆっくり戻ってね、
そんな願いを込めた、夏の祈りのかたちです。

精霊馬の起源は明確ではありませんが、
平安時代にはすでに、祖霊を迎える風習が存在していたとされます。
奈良時代に始まったといわれる「盂蘭盆会(うらぼんえ)」は、仏教と土着の祖霊信仰が融合して、お盆行事の原型となりました。
やがて民間に広まり、祖先の霊を迎えるために「精霊棚(しょうりょうだな)」が設けられるようになります。
その一部として、先祖の霊を迎え、また送り出すための乗りもの──
つまり精霊馬が添えられるようになったと考えられています。
この風習は、仏教というよりむしろ、
「ご先祖さまに、ちゃんと帰ってきてほしい」
という日本人の感覚から生まれた、自然な行いなのかもしれません。
“いま”のくらしに合う、お盆飾りを。
いまの暮らしの中では、なすやきゅうりが並ぶお盆飾りを用意することが、むずかしくなっている方も少なくありません。
だからこそ、「いまの暮らしにそっとなじむ、あたらしい精霊馬を。」
そんな想いから生まれたのが、いのりオーケストラの「やさしい精霊馬セット」です。
真っ白とやわらかなグレーの陶土でかたどられた、手のひらサイズの馬と牛。控えめな光をまとうマットな質感と、手仕事ならではのわずかな揺らぎが、暮らしの空気にやさしく溶け込みます。

静けさの中に、気配がある。
ともに添えられるのは、小さなブナの木の皿。お供えや花びらをそっと置けば、それだけで静かで凛とした盆供養のしつらえが整います。
どこにも派手さはありません。でも、静けさの中にちゃんと気配がある。
それが、この精霊馬のいちばんの美しさだと思うのです。
お仏壇がなくても、リビングの棚や窓辺にちょこんと置ける。 形式や宗教にとらわれず、「こうしてあげたい」という気持ちを大切にできる。
——そんな現代の祈りのかたちを支えるものとして、このセットは生まれました。


たよりのような、しずかな祈り。
「子どもに、お盆ってなんだろうって話すきっかけになった」
「リビングに置いても、違和感がないどころか、なじんでくれる」
「季節の祈りを、丁寧に過ごせた気がする」
そんなお声を、私たちはひとつひとつ、大切に受け取っています。
お盆飾りや盆供養を、“しきたり”ではなく“たより”のように考える。
それは、自分の心に正直な祈り方かもしれません。
この夏、あの人を迎える静かなしつらえとして。
あなたの暮らしの中に、「やさしい精霊馬セット」を迎えてみませんか。

Top view 人気の記事